肩がこるのは、姿勢だけが原因でしょうか?

「最近、首や肩がガチガチなんです」

そんな言葉を、ケアの現場でもよく耳にします。

原因としてよく挙げられるのは、こんな生活習慣です。

  • 長時間のデスクワーク
  • スマートフォンを見る時間
  • 運動不足
  • 同じ姿勢を長く続ける生活

もちろん、こうした身体への負担は首や肩まわりの不調と関係します。

でも、こんな経験はありませんか?

忙しい日ほど、肩に力が入っている。
緊張する場所に行くと、身体がガチッと固まる。
心配事があると、なぜか首や肩まで重く感じる。

だとしたら、首こりや肩こりを「姿勢の問題」だけで考えるのではなく、もう少し広い視点から身体を見てみてもいいのかもしれません。

心が緊張すると、身体も反応します

私たちの身体は、心で感じていることと無関係ではありません。

不安になったときに心臓がドキドキする。
人前に立つと手に汗をかく。
驚いた瞬間に身体がビクッとする。

どれも、心で感じたことに対して身体が無意識に反応している身近な例です。

ストレスを感じたときにも、身体ではさまざまな反応が起こります。

厚生労働省も、ストレスがたまったときに現れる身体のサインとして、肩こりや頭痛、腰痛、睡眠の変化などを挙げています。

つまり、

「心の疲れが、身体の変化として現れることがある」

ということです。

身体は、言葉より先に教えてくれることがある

私たちは、自分では「大丈夫」と思っていても、身体に触れてみると驚くほど力が入っていることがあります。

肩。
首。
あご。
お腹。
手。

「こんなに力を入れていたんだ」

と、そこで初めて気づくこともあります。
そしてご本人は力を入れている感は、ほとんど自覚がないという共通点があります。

特に、毎日一生懸命に頑張っていると、自分の疲れやストレスには意外と気づきにくいものです。

だから私は、身体の不調を単に「悪いもの」として見るのではなく、

今の自分の状態に気づくための一つのサイン

として捉えることも大切だと思っています。

ケアをしていると、こんな瞬間があります

長年、身体に触れるケアを続けていると、身体がゆるんできたところで、

「私、ずっと力が入っていたんですね」

と話される方がいます。

中には、

「最近、いろいろあって……」

と、それまで話していなかったことを少しずつ話し始める方もいます。

もちろん、身体をほぐせばすべての心の問題が解決するわけではありません。肩こりにもさまざまな原因があります。

それでも、身体に触れ、自分の身体の状態に気づくことが、自分の心に目を向けるきっかけになることはあります。

私は、ケアの現場でそんな場面を何度も見てきました。

「肩をほぐす」だけで終わらせない

肩がこったら、肩をほぐす。それも大切なケアです。

でもケアイストが大切にしたいのは、もう一歩その先です。

「どうして、こんなに力が入っているんだろう?」
「最近、ちゃんと休めていたかな?」
「何か我慢していることはないかな?」

身体を入り口にして、その人自身をみていく。

身体だけでもなく、心だけでもなく、その人を丸ごとみる。

それが、私たちケアイストが大切にしている考え方です。

今日、30秒だけ身体を感じてみませんか?

今、そのままの姿勢で大丈夫です。

一度、息をゆっくり吐いてみてください。

そして、息を吸って肩を持ち上げて、息を吐きながら肩をストンと落としてみます。

どうでしょう? 思っていた以上に、肩に力が入っていませんでしたか?

もし力が入っていたら、「力を抜かなきゃ」ではなく、

「私、力が入っていたんだね」

と、まず気づいてあげてください。

変えようとする前に、今の自分を知る。それも立派なセルフケアです。

ケアイストからのメッセージ

身体は、とても正直です。

言葉では「大丈夫」と言えても、身体は「ちょっと疲れているよ」と教えてくれていることがあります。

だから、身体を調えることは、単に不調を取り除くことだけではありません。身体に触れながら、

「今の私は、どうなんだろう?」

と自分自身に目を向ける時間でもあります。

ケアイスト協会では、身体・心・脳を切り離さずに学ぶことを大切にしています。目の前の人の身体に触れながら、その人自身を丸ごと理解しようとする視点は、私たちがケアイストとして一番大切にしている在り方です。

身体に気づく。すると、心にも気づく。そして、その身体と心の反応には、脳も深く関わっています。

次回から、少しずつその「脳のしくみ」にも目を向けていきたいと思います。

今日の問い

あなたの肩に入っている力は、身体だけの問題でしょうか?

今日は30秒だけ、自分の身体に耳を傾けてみてください。


※肩こりには筋骨格系の問題や疾患など、さまざまな原因があります。本コラムは一般的な健康情報を提供するもので、診断や治療を目的としたものではありません。痛みが強い、長く続く、しびれや筋力低下などを伴う場合は、医療機関にご相談ください。

参考情報(確認日:2026年8月13日)

  • 厚生労働省「ストレスのサイン」(こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~)
  • 厚生労働省「ストレスとこころ」

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